ヒヨコ大学院生による看護科学の探求

看護師の資格を取り、三年勤務したのちに大学院に入学しました。論文を書きながら、がんサバイバー支援での看護研究者・臨床家の役割について考えています。

看護者(臨床家+研究者)が、博士論文を通じて考えるべきこと。求められていること。

本日の博士論文ゼミ;博士課程の先輩はレビューアとのやり取り真っ最中

午後1時から午後5時まで、4時間のディスカッションでした。
メインは、以下の事について整理し、丁寧に言語化することです。

  1. 重要な看護問題はなにか
  2. その問題を博士論文(研究)で取り上げる意義はなにか
  3. 明らかになった新知見はなにか

 これらが矛盾なく博士論文の中で丁寧に説明され、研究で得られた知見が今後の看護の発展に貢献することが博士論文の重要な役割だと、今日のディスカッションを通じてはっきり感じました。

 研究計画の段階から、研究実施する中で、また結果が明らかになり考察する時点において、時間的・道具的・物理的な様々な制約を受けながら研究が変容していくことも致し方なく感じますが、言い訳は無用であり、首尾一貫した説明が求められます。

 

1.に関しては、臨床の看護でどのような患者さん、家族、場面に接したかという事が重要そうだと感じました。

 私は研究のきっかけとなった「患者さん(事例)」に立ち戻ることで、何がやりたくて研究を始めたのかを思い出すことができます。着目したその問題が重要かどうかの判断は、正直難しいところです。しかし、患者さんにとって重要な問題であれば、看護問題と言えると思います。

 その患者さんの持っていた問題は何か。どのようなケアを提供できたか、その問題、そして提供したケアは患者さんにとってどういう意味を持っていたか。

 患者さんの持つ問題を研究テーマとして取り上げるにあたって、看護がその解決に貢献できる問題であるかどうか。看護が取り扱う意義があるか、というのも重要です。専門職としての特色が問われます。

 

2. その問題を取り上げる意義。

 思うに看護は、ただ医師の指示の元に行動することを学ぶ学問ではない。むしろ、医師の治療ではどうにもならなかった問題や、現在の医学では治療に限界がある症状、そして患者さんの生活について家族、地域社会、成長発達や文化的な背景などを様々な環境を含めて包括的に支援することが求められる状況に看護ケアが求められます。

 常々教授が「大きくまとめると『予防・早期発見・介入』というフレーズに分けられる」と、おっしゃりますが、それが問題を取り上げる意義を最も的確に伝えているのではないでしょうか。すなわち、

  • 問題を抱えている人がいるのに、問題の原因がわからない?
  • その問題を抱えるリスクのある人を特定する方法とは?
  • その問題を解決するケア方法は?

・・・これらが明らかになると、患者さんの問題解決に大いに貢献します。先行研究では取り上げられなかった対象や問題に焦点を絞り、患者さんの問題に近づくことが答えです。
 臨床では答えを出すのが難しいように思います。時に患者さんを俯瞰的にみることが必要で、研究はそれを助けます。研究を通じて問題を明確にし、必要なケアが何であるか、そしてケアを受けた患者さんが得た結果を示すことができます。

 私の臨床は、どういう問題を抱え、どんなケアが患者さんを癒すか分からず、ただそばにいる、聴く、時に励ますことしかできず、力不足であることを思い知らされる毎日でした。それも重要な看護ケアだったかもしれませんが、根拠を明らかにすることが看護科学の発展につながるのだと思います。

 

以上を踏まえて・・・

3. 明らかになった新知見とは。

 それはどのように問題解決に貢献するのか。

 しばしば問われることですが、「研究して結果をみて、一番驚いたこと、意外だった事は何か」という質問にも集約されそうです。その研究が明らかにしたことや、その研究の価値は何か。私の博士論文はこの部分がまだ固まっていないと、今日のゼミで明らかになりました。

  • 臨床応用
  • 教育
  • 研究枠組みへの貢献

 という三点から、新知見の意義を具体的に説明することが難しい。2.と3.はリンクしています。

 研究の意義は何か✕新たに分かったことがどのように貢献するのか。

 

 9つのマス目になりました。どの部分が明らかになり、どの部分での貢献が見込めるか。ますます謎は深まるばかり、どんどん面白くなります。自信は無い。