2014年夏の米国研修(第一回:奨励賞について)
学内の大学院学生研究奨励賞を授与し、海外研修に行ってきたのでその報告と、覚書きとして記録に残したいと思います。
第一回目として、まずは奨励賞に関して。
本研究奨励賞は、博士後期課程学生に応募資格がある海外研修の奨励金です。
つまり、博士後期課程の学生として、学部生や博士前期課程(修士レベル)学生とは一味違う経験と学びを得ることを期待されています。
応募に際し重要要件だったのは、TOEFLのスコアでした。
大学で活用するレベルの英語力を評価されるもので、地域社会での日常生活というよりも、大学生活で必要な英語力があるか、講義についていけるか、という評価基準です。
そのため、TOEFLのスコアを上げるには米国の歴史、地理、建築、社会学、宇宙、医療、生物・・・など様々な学問の英語知識が求められます。
一方で、ある程度の決まった形式や戦略もあるので、要は訓練が必要なテストだと個人的には考えています。大学入試センター試験のような感覚だと。
私は大学院入学前より一年に1~2回のペースでTOEFLを受けています。
受験のたびに徐々にシステムに慣れて、得点が上がる傾向にはありますが、非常に負荷の高い、つまり時間がかかるテストなので、疲労しているときは下がったこともありました。
そんなこんなで、中レベル(intermediate)というスコアで何とか書類を提出しました。
無事に奨励賞の授与が決定したわけですが、その後に訪問予定だった施設との調整や、博士論文のデータ収集や分析、執筆の時期との兼ね合いで、予定していた期間を変更してもらい、2014年7月に米国研修が決まりました。
英語学習のこと
中学生から英語始めました。
父親に勧められて始めたのが、NHKの中学生向けのラジオ英語講座でした。
一日15分、これだけ。楽しく続けられ、英語も好きになりました。
高校でも同じくラジオ講座だったわけですが、ちょっとだけレベルアップした内容に。
大学では一人暮らしを始めラジオを聴くこともなくなり。
そのころ、ネットでストリーミングはやっていたのかいないのか。情報を得ることもなく英語の勉強をおろそかにしていました。英語選択でERのドラマを観たり、医学系の用語が出てくる本を読んだりそんな程度。
仕事しているときはそれはそれは英語学習から遠のいていきました。
たまに患者さんに英語+母国語のみの方がいると、片言で対応するしかなく。ニーズはあったのだけど、集中的な英語学習が継続することもなくなってしまっていました。
大学院に入る前に、これは問題だと思い、微々たる退職金をはたいて英会話スクールに入学。ただ、私の会話力では、45分間英語のみで会話するにはだいぶ無理があり、空白の時間がもったいなく過ぎていくのでした。
私の性格上の問題なのか(シャイでビビり)、先生と英会話するだけの時間では、上達に時間がかかりそうで、かつ金銭的な余裕もなく。結局英会話スクールに通ったのは短期特別コースを受講した10~15回程度でした。
そして今、再びNHKラジオ講座に取り組んでいます。ネットストリーミングのお陰で好きな時間に学習できます。しかも、テキストは数百円。とにかくタイミングを逃さず毎回クリアできるように。一週間に二回の講座なので、それもそんなに大変ではありません。ただしNHKで強化しているのはリスニング。
近頃、海外研修のために米国の先生とやりとりをする必要があるので、メール作成にとっても苦労しています。
そこで、この度ネットでライティングの英語学習を始めました。
色々な口コミを見て、二つの会社で悩みましたが、最終的に自由度と金銭的なお得感で選びました。
ここ1年ほど、無料のメールマガジンに登録して、英語テストにも取り組んでみました。しばらく続いていましたが、やはり投資したほうがやる気が出ますね。
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昨日から1)日記と、2)メール添削の二つのコースを始めています。
それぞれをひと月あたり15回ずつ、何かしら英文を書くようにしようと思っています。
(一回のやり取りで複数チケット消費することもあるので、2~3日に一回という事になりそうですが)
最初の添削メール依頼に、先生からのレスポンスが思ったよりも早くて、期待が高まります。あとはやるだけ。
看護者(臨床家+研究者)が、博士論文を通じて考えるべきこと。求められていること。
本日の博士論文ゼミ;博士課程の先輩はレビューアとのやり取り真っ最中
午後1時から午後5時まで、4時間のディスカッションでした。
メインは、以下の事について整理し、丁寧に言語化することです。
- 重要な看護問題はなにか
- その問題を博士論文(研究)で取り上げる意義はなにか
- 明らかになった新知見はなにか
これらが矛盾なく博士論文の中で丁寧に説明され、研究で得られた知見が今後の看護の発展に貢献することが博士論文の重要な役割だと、今日のディスカッションを通じてはっきり感じました。
研究計画の段階から、研究実施する中で、また結果が明らかになり考察する時点において、時間的・道具的・物理的な様々な制約を受けながら研究が変容していくことも致し方なく感じますが、言い訳は無用であり、首尾一貫した説明が求められます。
1.に関しては、臨床の看護でどのような患者さん、家族、場面に接したかという事が重要そうだと感じました。
私は研究のきっかけとなった「患者さん(事例)」に立ち戻ることで、何がやりたくて研究を始めたのかを思い出すことができます。着目したその問題が重要かどうかの判断は、正直難しいところです。しかし、患者さんにとって重要な問題であれば、看護問題と言えると思います。
その患者さんの持っていた問題は何か。どのようなケアを提供できたか、その問題、そして提供したケアは患者さんにとってどういう意味を持っていたか。
患者さんの持つ問題を研究テーマとして取り上げるにあたって、看護がその解決に貢献できる問題であるかどうか。看護が取り扱う意義があるか、というのも重要です。専門職としての特色が問われます。
2. その問題を取り上げる意義。
思うに看護は、ただ医師の指示の元に行動することを学ぶ学問ではない。むしろ、医師の治療ではどうにもならなかった問題や、現在の医学では治療に限界がある症状、そして患者さんの生活について家族、地域社会、成長発達や文化的な背景などを様々な環境を含めて包括的に支援することが求められる状況に看護ケアが求められます。
常々教授が「大きくまとめると『予防・早期発見・介入』というフレーズに分けられる」と、おっしゃりますが、それが問題を取り上げる意義を最も的確に伝えているのではないでしょうか。すなわち、
- 問題を抱えている人がいるのに、問題の原因がわからない?
- その問題を抱えるリスクのある人を特定する方法とは?
- その問題を解決するケア方法は?
・・・これらが明らかになると、患者さんの問題解決に大いに貢献します。先行研究では取り上げられなかった対象や問題に焦点を絞り、患者さんの問題に近づくことが答えです。
臨床では答えを出すのが難しいように思います。時に患者さんを俯瞰的にみることが必要で、研究はそれを助けます。研究を通じて問題を明確にし、必要なケアが何であるか、そしてケアを受けた患者さんが得た結果を示すことができます。
私の臨床は、どういう問題を抱え、どんなケアが患者さんを癒すか分からず、ただそばにいる、聴く、時に励ますことしかできず、力不足であることを思い知らされる毎日でした。それも重要な看護ケアだったかもしれませんが、根拠を明らかにすることが看護科学の発展につながるのだと思います。
以上を踏まえて・・・
3. 明らかになった新知見とは。
それはどのように問題解決に貢献するのか。
しばしば問われることですが、「研究して結果をみて、一番驚いたこと、意外だった事は何か」という質問にも集約されそうです。その研究が明らかにしたことや、その研究の価値は何か。私の博士論文はこの部分がまだ固まっていないと、今日のゼミで明らかになりました。
- 臨床応用
- 教育
- 研究枠組みへの貢献
という三点から、新知見の意義を具体的に説明することが難しい。2.と3.はリンクしています。
研究の意義は何か✕新たに分かったことがどのように貢献するのか。
9つのマス目になりました。どの部分が明らかになり、どの部分での貢献が見込めるか。ますます謎は深まるばかり、どんどん面白くなります。自信は無い。
本教室のポリシー(大事なことなのでメモ)
本日は2014年仕事始めとなりました。
昨年末のゼミで私たちが教わってきたこと、大事にすべきことをメモとして残します。
以下、教授のコメントをメモ。
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本講座の看護の理念は、患者家族中心型看護である。
理念の中核の第一は尊厳尊重。
相手にとっての意味を考え、意向、思いを尊重した看護を提供すること。
国際で何を学んだか?と聞かれたら、
「看護のグローバルスタンダード、どんな文化でも共通の看護理念である患者家族中心型看護を学んだ」と言える様に論文をまとめること。
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ゼミで求められることは以下。
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何が看護問題なのか
この研究の意義は何か
臨床還元できるアウトカムは何か
「何が看護問題か?」
に対する回答が、
「情報が与えられていない、あるべきサポートがない」ではダメ。
それは看護問題ではなく、看護師の問題。
当事者の立場で言い直すこと。ある無しではなく、当事者にとっての意味が見えるはず。
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本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
学部1学年(看護専攻)のインタビューを受けることに。
「看護の統合と実践」の授業では、
”看護学の学習を始めたばかりの一年生が、様々な場面における看護のあり方について知り、生涯にわたり自立して看護を学んでいけるようになるための学習態度を養うこと”
という目的の元、各専門に精通している看護職にインタビューするとのことです。
そして、私に白羽の矢が。ご依頼によれば、「留学経験のある看護職」という事でインタビューを受けるそうです。早速、「留学経験はありませんが・・・・」と申し出たところですが、「短期研修に行ったことがあるから、その経験と、国際学会での発表のことなどをぜひ」とのことでした。
とりあえず、学生の自己学習のための略歴を作成してお送りする必要がありますので、国際看護開発学での経験をつらつらと並べてみようと思っています。
がんに関する研修の情報
①がん看護の国際セミナー
米国におけるARPNの役割機能に関する講演
by がんプロ養成基盤推進プラン
@慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科看護学専修
②多職種連携の推進に寄与するリーダーシップ育成
宿泊研修なんて!楽しそう。
勉強になりそう。
http://www.teamoncology.com/academy/2013/
by Japan Team Oncology Program 2013, MD Anderson Cancer Center
博士論文データ収集開始
2013年度4月より博士後期課程2年生になりました。そんな前置きをしておいて、5月も終わろうとしていますが。
本年度に入り、いよいよデータ収集を開始しなければ、今年中に論文投稿するという目標が潰えてしまうという危機感を感じながら、3~5月は倫理審査とフィールドとの連絡に奔走しました。
お世話になっている教授、先生方、ゼミ生の皆様、臨床の先生方には本当にたくさんご支援を賜り、感謝しつくせない気持ちです。
さて、倫理審査を通過し、無事に研究フィールドでのアンケート調査のデータ収集を開始しました。
修士では、臨床時代に知り合った患者さんから話を聞くこともあり、退院後の生活や近況を伺う事がとても自然にできた気がします。
今回は臨床ではまったく関わらなかった方と、研究を通じて初めて知り合い、またご協力いただくという関係です。
研究テーマについて、ご支援いただけるのだろうか(興味を持ってもらえるだろうか)という不安に加え、看護師ではありますが研究者で、他人の私に治療や生活での体験についてお話ししてくださるのだろうか、と様々な不安要素により、緊張の日々を過ごしています。
患者さんとお話しするといつも思うのですが、看護師っていう立場は患者さんとのコミュニケーションにおいて、相当信頼されているのだなと感じます。
それだけに責任も大きいと思い、データ収集での面接においても、これから結果を分析していく過程においても、丁寧に作業しようと感じます。
作業というよりも、構築でしょうか。とにかく丁寧に構築していきます。
研究には研究者のバックグラウンド、哲学、研究で採用したフレームワークや概念によって様々なバイアスがかかっていると感じています。
そう思いながら毎日、反省したり後悔したり、気持ちを切り替えたりしています。
いつもこの研究が、ご協力くださった患者さんのお気持ちに沿うように構築したいと思います。
これから必要とされる看護研究になりますように。
今日も、明日も引き続き頑張ります。